年金改革一里塚~基礎年金底上げ”あんぱんのあんこ”について~(20250530)
現在の年金の制度改革のなかで”あんぱんのあんこ”とたとえられる中核である基礎年金底上げについて議論されています。以下、長文となりますがお許しください。
私は民主党政権時代に税と社会保障の一体改革の長妻座長のもと年金WTの事務局長として取り組み、その後、落選期間を経て国会に戻ってからも低年金、とりわけ年金の基礎年金(1階部分)のみや報酬比例部分(2階部分)が少額の低年金の問題を最重要課題と考えていました(*1)。そのため厚労委員会で政府に対応を求める質問を続けてきました(*2)。
その中で、2018年7月6日厚労委での質問の最後(*3)に、私は以下の提案をしました。「最後に。基礎年金と報酬比例部分は別会計ですから、だからこそ、マクロ経済スライド発動は、基礎年金は三十年も見込まれているのに、報酬比例部分は数年で終わってしまう。ここが一緒の会計になったら、また別の展開、世界が見える(解決に向けた制度設計の展望が開ける)と思います」。今回の基礎年金底上げの修正は、この提案を発展させたアイデアです。(私はその後、2会期を経て、文科委→国交委と移りました)
今回の基礎年金底上げの修正は、別の勘定である基礎年金と報酬比例部分を、一つの財布に見立て、一体的に扱い、厚年保険料の1階部分と2階部分の配分を調整してマクロ経済スライド調整期間が同一になるように計算する。よって、基礎年金の減りを少なくし、その分、国費(基礎年金の1/2は国費負担)の投入を大きくすることで、基礎年金給付の減価を少なくするものです
その時はどんな試算になるかわからなかったのですが、今、試算(*4)をみて思うのは(前提の諸条件の検証は必要ですが)①現行制度を使った最小限の修正で、②解決ではないが最大限の効果を得る、効果が早く現れる洗練された方法(*5)だと思います。デメリットは①経済が好調に推移しない場合には、主に高齢で高年金を受け取っている男性の方々などに減額の影響が及ぶ可能性があることと、②国費投入が続くことです。①には手当をする必要があり、3党で合意され(*6)、法案にその旨が盛り込まれています。②は貧困を救い、生活保護(*7)を少なくし、厚生年金の方々も穏やかな老後生活を支えるための必要不可欠な国費支出と考えます。また必要な2兆円程度がフルでかかるのは30年後、その際の現在価値13兆円と現在と同額。つまり投入国費が年々減る予測が、この修正によってそのまま続くのであって、現在価値でみれば国費の増額にはなりません。このアイデアを成案までもってきた年金局の手腕をたたえると同時に、一定の悔しさもあります。
まずはこの重要な節目である一里塚を確実に通過し、年金生活のおおまかな見通しをつけることが大事です。そして今後の課題として、①経済が好調に推移しない場合の受給減の層へのしっかりとした対応、②年金の物価スライド(物価が上がればその分年金給付も上げる仕組み)が機能しても、年金の絶対金額が少な過ぎて生活できないという問題が残っています。特に、自営業だけでなく、会社勤めだったのに、非正規雇用で厚生年金に加入できず、老後を基礎年金とごくわずかな報酬比例部分の給付で生活せざるを得ないという問題は残ります。それは、給付付き税額控除(低所得者へはマイナスの所得税という形で給付される税制)の導入が必要だと考えます。
*1写真は2014年衆院選時のポスター「年金がんばる洋一」(結果は落選でした( ;∀;))
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*2 低年金問題についての白石よういちの国会質問
20200424厚労委 https://shiraishi.cc/archives/717 基礎年金を実質減らさないよう制度改革を!
20191122厚労委 https://shiraishi.cc/archives/635 基礎年金も非課税に!障がい基礎年金の増額を!
20191030厚労委 https://shiraishi.cc/archives/672 在職老齢年金見直しの負担は将来世代だ、やめろ!
20190312厚労委 https://shiraishi.cc/archives/478 マクロ経済スライドは低所得者には停止を!在職老齢年金の廃止の財源は将来世代の年金減額だぞ!年金生活者支援給付金をプッシュ型で口座振込!受給資格期間(10年)を廃止せよ!
20181205厚労委 https://shiraishi.cc/archives/466 年金生活者支援給付金定額月5000円へ
(*3) 20180706厚労委 https://shiraishi.cc/archives/836 どの世代も年金で尊厳ある生活ができるよう!マクロ経済スライドの停止と福祉的給付を定額に!
20180330厚労委 https://shiraishi.cc/archives/980 公的年金で将来世代も生活できるように!
20180215予算委 https://shiraishi.cc/archives/409 国民年金を実質減らすな!
20171124厚労委 https://shiraishi.cc/archives/393 年金で尊厳ある生活を! 年金どれだけ下がるか個別に知らせよ!
20130716まとめ 低年金問題について https://ameblo.jp/shiraishiyouichi/entry-11573546708.html
20120810参-社保税一体改革特別委-答弁 https://youtu.be/IbxoI-QxvPA?si=0bXgNHwo3kA0I7fN
20120622社保税一体改革特別委-答弁 https://youtu.be/jZs9IucmoU4?si=s3WoUagBvTQo3qkX
20120530社保税一体改革特別委 https://youtu.be/u2ep3kLgzwc?si=cfXROSXXVD4xW8v9
20120417厚労委 【基礎年金(1階部分)3割減に対策を!】岡田副総理に新しい年金についての質問 https://youtu.be/z_xYYoX6I_M?si=Q0t8oG9Nxsj_Iaj8
*4 マクロ経済スライド基礎年金と報酬比例部分同時終了による年金受給総額への影響【男性・女性別 試算】
www.shiraishi.cc/202505NenkinTotal-Dansei.jpg
www.shiraishi.cc/202505NenkinTotal-Jyosei.jpg
*5代替案で正式に出されたものはなく、素案では内容が不透明だし、物価上昇時代に入り、マクロ経済スライドが1階部分に対して長期に発動される中、他の案は制度設計と実現に時間を要し過ぎる
*6「政府は一の法制上の措置を講ずる場合において老齢基礎年金の額及び老齢厚生年金の額の合計額が当該措置を講じなかったとしたならば支給されることとなる老齢基礎年金の額及び老齢厚生年金の額の合計額を下回るときはその影響を緩和するために必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとすること」(’25/5/27三党合意書)
*7 生活保護費の年間総額(国と地方の合計)は、令和7年度の直近の予算ベースで3.7兆円
衆議院議員 白石洋一 (今治市 西条市 新居浜市 四国中央市 上島町)
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白石洋一(しらいし よういち) 衆議院議員
今治西高卒 東京大学法学部卒
日本長期信用銀行勤務
カリフォルニア大学バークレー校経営大学院(MBA)修了
監査法人KPMGニューヨーク事務所勤務
9・11事件に遭遇し、政治家を目指し、帰郷し立候補
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