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    • 白石よういちからのお便り

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    ■よういっちゃんねる■
    衆議院議員 白石洋一からのお便り
    2018年5月31日発行号
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    5月31日の午後、働き方改革関連政府一括法案の高度プロフェッショナル制度(高プロ)の問題点と削除を衆議院本会議で訴えました。
    残念ながら高プロ削除されないまま衆院は通過しました。
    参議院での審議に託したいと思います。
    以下演説の内容です。読み上げて9分程度の長さですが、お読み頂ければ幸甚です。

    また、インターネットのビデオでも見れます。
    「衆議院HP http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php
    「ビデオライブラリ」→ 2018年5月31日の「本会議」で検索)

     衆議院議員 白石洋一

     − 演説 −

    国民民主党の白石洋一です。国民民主党・無所属クラブを代表し、政府の働き方改革関連法案に反対の立場で討論します。冒頭、先の厚労委員会では強行採決されたことに強く抗議します。

    この法案は、一つは労働時間規制。二つめに、同一労働 同一賃金。そして三つめは高度プロフェッショナル制度、いわゆる高プロ、の3つの要素があります。

    政府案の1.労働時間規制と、2.同一労働 同一賃金の方向性には賛同します。更に良くする為、我々、国民民主党や立憲民主党の対案では、様々な提案を満載しているところです。

    しかし3.高プロは、労働者保護の面から非常に問題であり、その削除を委員会審議で求めてきましたが、残念ながら強行採決され、削除されず、本会議上程となりました。
    高プロの重大な危険性にかんがみ、高プロ削除の必要性を中心に、委員会での議論を元にお話しします。

    高プロの正式名称は「特定高度専門業務・「成果型」労働制」ですが、法案のどこを見ても、「成果」によって報酬を決めることは条件となっていません。
    すなわち年1075万円、丁度の定額さえ払えば、労働者を働かせ放題にすることができるのです。

    年収1075万円で働かせ放題にしたらその人はどうなるでしょうか?高プロ成立を強いる与党の方々は、恵まれた社会人生活を経た方が多いからか、どうも他人事です。

    国民の痛みを自分事として分かる為に、皆さんの給料が1075万円になったと想像してみてください。1075万円で働かせ放題の人たちのことが痛いほど分かるようになるのではないでしょうか?

    加えて危惧されることとして、高プロによる長時間労働の働き方を避けて、労働時間規制がある、年収1000万円ぐらいまでで働くほうを好む人が多くでてきて、年収1075万円の「壁」が新たにできてしまうでしょう。

    休日労働の割増賃金の支払義務がない、
    深夜労働の割増賃金の支払義務がない、
    労働時間の規制が全くない、
    実労働時間の管理が全くされない。
    だから過労死リスクが高いのです。ここが一番の問題です。

    それに加えて亡くなった後の、経済的な悲惨さです。

    労災では、時間外と休日の労働時間が、月100時間超え、複数月80時間超えであるかどうかが、過労死の主な認定基準です。

    しかし高プロでは使用者の実労働時間管理の義務がないので、この認定基準を立証し難いのです。

    さらに過労死は悲しみに暮れる遺族が実労働時間を、立証しなければなりません。ですから、「泣き寝入り」が多発することになります。

    労災ではなく、裁判で使用者の管理責任を問おうとしても、高プロは自分の意思でそのような働き方をした、「自己責任」だとされて使用者の責任が問われにくくなっています。 

    すなわち、過労死は増えるのに、労災の過労死認定はされず、遺族は経済的にも追いつめられる、この二つが掛け算のように、悲惨さが、働く者と、その家族に襲いかかる制度、これが高プロです。

    こんな制度を何故政府は導入しようとするのでしょうか?
    一言でいえば、労働者が自律的に働けば生産性がより上がる、という根拠も薄弱であり、また使用者には過大な目標設定を押しつけて悪用する人はいないだろうという、性善説的で、まったく楽観的な見通しに基づいています。

    労働時間規制の見直しの議論は、2013年に労政審で開始されましたが、そこで「議論の出発点」だと政府が示した「平成25年度労働時間等総合実態調査」がこともあろうに、全く杜撰なものであることが発覚しました。それにより政府は、全体の2割のデータを削除しました。中でも裁量労働制のデータは、全部使えないということでばっさり削除してしまい、裁量労働制の数字での実態が見えなくなりました。

    裁量労働制をさらに「スーパー」なものにした高プロは、謳い文句では美辞麗句が踊っていても、数字の裏付け、エビデンスがありません。これでは暗闇の中で、声だけを頼りに野球をするようなものです。

    この制度の可決後、対象者を広げる意図も見てとれます。
    実際、2015年4月に当時の厚労大臣である塩崎氏は高プロについて「小さく生んで大きく育てる」と公に発言されました。これは、高プロは「蟻の一穴」のように導入してから、対象拡大を前提としていることを、打ち明けたと解されています。

    与党と一部野党が合意した修正案の内容は残念ながら不十分と言わざるをえません。なすべき修正は高プロ削除です。たとえ衆院は通過しても参院での審議があることを考え、以下、委員会での議論等を踏まえ、高プロによる過労死を減らす案を紹介します。

    一つは、勤務間インターバル制度の義務化です。過労死の原因は、集中的な長時間労働であるので、終業時刻と翌日の始業時刻との間に一定時間の休息をとらせるのです。これで、過労で頭が朦朧とした状況を少しでも解消し、過労死を防ぎます。

    もう一つは、法定される年収要件を上げること。すなわち「基準平均給与額の3倍を相当程度上回る」の、3倍のところを4倍なりにして対象者を少なくするものです。これにより労基署の監督の目が行き届くようにすることで、高プロの過労死を抑止します。

    三つ目は、事が起こってからとはなりますが、不幸にも高プロにより過労死した、と労災「申請」があった場合に調査分析と制度の見直しを政府の義務とすることです。
    今でさえ死亡しても労災認定されるのは申請の4割程度です。実労働時間が把握されない分、労災「申請」された高プロ事案をすべて分析し、高プロを見直すのです。

    以上三つ挙げましたが、とにかく、「高度」に過労死しやすい使用者目線の高プロは、「高度」に労働者保護に注意を要します。

    安倍総理は昨年2月、過労自殺した元電通社員、高橋まつりさんのお母様である幸美(ゆきみ)さんと官邸で面会されました。お母様が長時間労働の是正に関し「ぜひ実効性のあるものにしてほしい」と訴え、総理は「なんとしてでもやりますよ」と応じました。その幸美さんや、他の遺族の方々は今、自分の愛する家族はもう帰ってこないけど、その地獄のような苦しみを他の人にさせたくない、と高プロ導入に強く反対しておられます。安倍総理、ご遺族の思いにしっかりと応えてください。

    終わりに、例え専門性があって、収入が人並以上でも、人である以上、長時間労働が続けば、生身の体は壊れます。
    労働時間規制を全てなくし、使用者から実労働時間管理義務を、免除してしまう高プロだけは、削除しなければならないこと、この後も審議を十分付くすこと、を強く訴え、討論と致します。

    ご清聴ありがとうございました!

    ──以上です──

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